腰痛の原因になる女性の病気~更年期は婦人科/内科で早めのチェック
女性におこる腰痛の原因は内臓疾患や女性特有の病気によるものも考えられ、症状によっては専門の病院で診てもらう必要があります。
とくに50代60代のシニア女性は、筋肉や体の衰えだけでなく更年期障害を併発して原因が複数あることも考えられます。
腰痛の原因となる病気にはどのようなものがあるのか?また、病気以外にも腰痛の原因になりやすい生活習慣とその改善方法についてもまとめてみました。
目次
腰痛の原因は病気の可能性も
腰痛は骨の変形や神経の圧迫などが原因となっていることが多いので、通常は整形外科を受診し治療するのが一般的です。
しかし、病気が原因で腰の痛みを感じることもありますので、下記のような症状が見られたら婦人科や内科の病院を受診しましょう。
病気が原因の腰痛によくある症状
- 腰痛だけでなく腹痛も併発している
- 腰が締め付けられるような痛みがある
- 生理の時に痛みが強くなる
- じっとしていても痛みがある
- どんな姿勢にしても痛みが続く
- 痛みの症状が改善せず、だんだん強くなっている
腰痛の原因となる内臓疾患
実際に腰痛を引き起こす内臓の病気としては次のようなものがあります。
- 大腸がん
- 肝臓がん
- 胆石症
- すい炎
- 胆嚢炎
- 膀胱炎
検査前にセルフチェックすることもできますが、詳しい診断をしてもらうためにも、まずは内科を受診して原因となる病気がないか調べるのがベストです。
女性の病気が原因の腰痛は婦人科へ
女性の場合は、下記のような女性特有の病気から腰痛を招くこともあると言われています。
- 子宮がん
- 子宮筋腫
- 月経困難症
腰の痛みだけでなく、腹痛や生理痛を併発しているようなときは念のため婦人科を受診することをおすすめします。
さらに、50代60代女性の腰痛は「更年期障害」など原因が複数あるケースも多いので、更年期に起こる腰痛の特徴についてもご説明しておきます。
更年期女性の腰痛の原因
女性ホルモンの減少
更年期に入ったとたんに腰痛がひどくなったいう人も多いようですが、50代から60代の女性に起こる腰痛は「女性ホルモン」が影響していると言われています。
更年期に入ると女性ホルモンの分泌が減少しますが、この女性ホルモンは体のさまざまな器官の働きに深くかかわっており、これが減ることで【骨の老化・骨量(骨密度)の低下・背筋や腹筋などの筋力低下・骨盤のゆがみ】といった体の不調が起こり、腰痛を引き起こす原因になると考えられています。
骨粗しょう症腰痛
骨粗しょう症は、骨量(骨密度)が減り、骨の内部がスカスカになりもろくなった状態で腰痛や背中の痛みなどの原因にもなります。
骨粗しょう症を発症する要因は、女性ホルモンの「エストロゲン」の減少にあります。
エストロゲンは、骨の形成を進め、骨の破壊・吸収を抑える働きがありますが、更年期に入るとこのホルモンの分泌が急激に減るため、骨量が減少して骨粗しょう症になる女性が増えることがわかっています。
また、骨粗しょう症が進行すると転倒などちょっとした衝撃で骨折しやすくなり、脊椎が変形し圧迫骨折による痛みが出ることもあります。
変形性腰痛症
変形性腰痛症は、腰の骨「腰椎」が老化して変形し、周囲の神経などを刺激して痛みを引き起こす障害です。
骨粗しょう症と同じように更年期の症状で、骨がもろくなることで発症しやすくなり、腰痛だけでなく下半身のしびれなどの症状も出ます。
また、高齢者は椎間板などの柔軟性がなくなってくることで「腰椎すべり症」「腰椎分裂症」なども起こりやすいと言われています。
痛みがひどい場合は、整形外科のある病院で診察・治療を行ってください。
糖尿病が原因の腰痛
糖尿病は様々な合併症を持つことでも知られている生活習慣病で、症状のひとつに腰痛が挙げられます。
糖尿病と腰痛は直接の関係がないように見えますが、糖尿病にかかると合併症として神経障害が起こり、神経障害が起きると体の組織や器官にも少しずつ悪影響を及ぼし腰痛を引き起こすと言われています。
また、糖尿病の影響で組織がもろくなってしまうことから骨や軟骨の劣化を招き、骨粗しょう症や椎間板ヘルニアを発症するリスクが高くなります。
糖尿病疾患が無いかどうかは病院の内科で診てもらいましょう。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアも腰痛の直接的な原因のひとつです。
椎間板は、腰椎(脊椎の一部で腰の部分を指す)の間にありクッションの役割をしているものですが、この部分が突出した状態のことを椎間板ヘルニアと言います。
椎間板ヘルニアになると、突出した椎間板が神経に当たるので痛みを感じるようになります。
この椎間板ヘルニアになる原因としては、前かがみ(猫背)の「姿勢」であったり、背骨を支える「腹筋・背筋(筋肉)の衰え」と言われ、運動をしない高齢者などに起こりやすいと言われています。
生活習慣が原因の女性の腰痛
高齢者の腰痛は筋肉の衰えがおもな原因
高齢になると腰痛だけでなく、肩や膝など体の節々に痛みが出やすくなり、思うように運動をできなくなります。
運動不足になると腰周りの筋肉が衰え、上半身の負担(体重)を腰だけで支えることになり、とくに腹筋の筋力が弱くなると背筋に引っ張られるようになり、背中が反って腰痛になりやすいと言われています。
また、運動不足は血行も悪くなり、神経が圧迫されるなど腰痛を起こす原因を増やすことになります。
腰痛の改善・予防のために運動は不可欠ですので、まずはシニア女性でも簡単にできる「腰痛に効果のあるストレッチ」などから始めるのがおすすめです。
慢性的な便秘~食事も腰痛の原因に
便秘によりおなかが張った状態が続くと腰や背骨を圧迫し腰痛の原因になります。
とくに20代~40代の女性は便秘になりやすいと言われますが、その理由としては生理前に分泌されるホルモンの働きで腸の働きが弱くなることが挙げられます。
ですので、更年期になると便秘が改善される方もいますが、50代60代の女性が便秘になる原因としては「筋肉」と「食事」が関係していると言われています。
もともと男性よりも筋肉量が少ない女性は、内臓を支える力が弱いため胃下垂などで腸を圧迫しやすいと言われ、高齢になると腸の動きも弱くなってきます。
また、年を取ると1日の食事量や水分摂取量が減ることで便がたまりやすくなるのも理由のひとつです。
腰の痛みとあわせて便秘ぎみという方は運動と食事の生活改善から行うのが腰痛予防・改善の近道です。
『介護』による腰への負担
60代の子どもが80代の親を介護する。
いわゆる老々介護はシニア世代の私たちにとっての深刻な課題です。
介護をされている方はわかると思いますが、ベッドから車いすに移動させたり・椅子からベッドに移動したり・おむつの交換や入浴の補助をするなど、人ひとりを持ち上げたり支えたりするのは非常に体力を使う作業で、足・腰にも大きな負担がかかり腰痛の大きな原因になります。
また、親の介護をお願いされるのは女性の方が多く、男性に比べると腕の力も弱いため腰への負担が大きくなり腰痛を発症される方が多いようです。
『介護』についてはこれからますます増える問題ですので、女性だけにまかせずまわりの協力と理解が不可欠です。