高齢者の筋トレメニューで効果のある方法(負荷/回数/頻度)と注意点まとめ
高齢者にも筋トレがおすすめと言われるけど、どこの筋肉を鍛えると良いのか、また、どんなメニューを、どれくらいの負荷で、どれくらいの回数・頻度で行うのが良いのわからないという方のために、高齢者に効果的な筋トレメニューのトレーニング方法と注意点についてまとめてみました。
目次
高齢者は下半身の筋トレが効果的!
腹筋~下肢の筋トレで腰痛・転倒予防の効果も
体の中の筋肉の60%は下半身(太もも、お腹、お尻など)にあります。
一方、筋肉は年をとるとともに減少しますが、体の部位によって減り方が異なり、上半身より下半身の筋肉の方が減少するスピードが速いことがわかっています。
下半身の筋肉が減少すると、身体を支えることが難しくなり、歩行に支障が出たり膝の関節痛などが起こるリスクも高まります。
ですので、高齢者が筋トレで筋肉量を増やすには、下半身を重点的に鍛えるやり方が効果的です。
そのほかにも筋トレにはさまざまな効果が期待されています。
高齢者の筋トレは回数・頻度にも注意
筋トレは週2回から3回くらいのペースで行うのがベストです。
筋トレの刺激で筋肉は一度壊されてその力が下がりますが、それを修復する過程で太くなり前の状態より力が上がります。これを「超回復」と言い、修復(筋肉の回復)とダメージ(筋トレ)を繰り返すことで筋肉は太く力強くなります。
ただし、回復には48時間から72時間が必要と言われ、きつい筋トレを毎日やると修復が間に合わず、疲労で筋肉に障害を起こすこともあるので注意が必要です。
つまり休むことも筋トレの一環であり、週に2~3回の筋トレがちょうど良いのです。
効果のある筋トレの負荷(負荷量)
筋肉を増やすのに一番効率がいいと考えられている負荷の強さは「10回ギリギリできるくらいのキツイ運動」をすることだと言われています。
この強さは「短時間で筋肉を疲れ果てた状態にする」ので、筋肉はより大きく増えようとしてくれるのです。
ゆっくりとした動きで10回、その後に余裕のある方は早い動きで10回、行うのが良いとされており、これを2セット行うと、時間はおよそ3分程度で、適度の負荷がかかるトレーニングとなります。
30回も40回もできる軽い負荷で筋トレをおこなっても、ただ疲れるだけで効果は少なく効率的な筋トレとは言えませんし、逆に負荷が重すぎて数回しかできないトレーニングも筋肉を増やす効果は少なくなります。
理想は、やや重めの負荷で10回程度おこなうやり方が効率よく効果が得られます。
自宅でできる高齢者の筋トレメニュー
筋トレに本格的に取り組むには、やはりフィットネスクラブやトレーニングジム等に行き、インストラクターの正しい指示に沿って効率的なマシーンや器具を使った筋トレをされるのがおすすめです。
が、やはりわざわざ通うのは面倒になってしまい、ライザップのように高いトレーニング料でも払わない限り長続きしないのが現実です。
(さすがに20万も払えば効果が出るまでそう簡単には辞められないですよね)
ですので、自宅でもできる筋トレ方法の中から、高齢者でも簡単にできる下半身の筋トレメニューを動画とあわせていくつかご紹介します。
スクワット(ダンベルスクワット)
「しゃがむ」と言う意味のスクワット、筋トレの王様と言われている効果の高いトレーニングのひとつです。
トレーニング方法
- 両足を肩幅くらいに開いて立ち、腕は胸の前で軽く組みます。
- 上半身はやや前傾させ、足の裏の真ん中に重心がくるようにします。
- 背中をまっすぐに保ったまま、椅子に腰かけるように、ゆっくりと4~5秒かけて膝を曲げ、お尻を後ろへ突き出すようにして腰を下ろします。
- 太ももが床と水平になるまで深く腰を下ろしたら、その姿勢から、4~5秒かけて、ひざをゆっくりと伸ばし立ち上がります。
実施回数の目安
1セット8回~10回これを2~3セット程度行います。
簡単にできて、負荷が軽いと感じた時は、両手にダンベルやペットボトルを持つなどして、負荷をかけて行うダンベルスクワットなどの方法もあります。
トレーニングの注意点
- 曲げた膝がつま先より前に出ないように(膝の関節に負担がかかるので良くない)
- 膝が内側に入らないように注意(膝を痛める危険性が高くなるので良くない)
- 単純な動きですが、ゆっくりと行うとかなりこたえます。そこをグッとこらえて筋トレを続けると筋力アップにつながります。
ランジ(ダンベルランジ)
お尻や太ももの裏側の筋肉への負荷が大きい筋トレで、スクワットと組み合わせて取り入れると良いでしょう。
トレーニング方法
- 背筋を伸ばし、胸を張って肩幅くらいのスタンスで立ちます。
- 上体の姿勢を維持したまま、両手を腰にあて、片足を前に大きく踏み出します。
- その状態から、後ろ足を下におろして無理のないところまでしゃがみます。
- そのまま3-4秒停止したら、後ろ足を上げて元に戻します。
- 踏み出した方の足を元に戻します。
実施回数の目安
②~⑤の動作を、1セット8~10回、これを左右交互に2~3セット行います。
負荷が物足りないと感じる場合、ダンベルスクワットと同様、両手にダンベルを持って行う「ダンベルランジ」もあります。
トレーニングの注意点
- 前に踏み出した足は、つま先から前に出ないようにします。
- 深くしゃがむほど負荷が大きくなります。
- 前に大きく踏み出すと負荷が大きくなります。
- 前かがみにならないようにし、重心は後ろに置きます。
アラベスク
太ももの前側、裏側、お尻、ふくらはぎの筋肉を刺激する筋トレです
トレーニング方法
- 机やテーブルの前に立って、両手をつきます。
- 頭、肩、お尻、足が一直線になるように、ひざを伸ばした状態で、ゆっくりと足を持ち上げます
- 足全体が床と水平な状態で5秒程保ったら、ゆっくりと足を下ろします
- 反対側の足も同じように行います
実施回数の目安
②~④の動作を、1セット8~10回、これを左右交互に2~3セット行います。
トレーニングの注意点
- 机やテーブルが高い場合、背中が水平になるように、肘を曲げて調節します。
- 上げた方の足の膝が外側に向かないように注意します。
ヒップリスト
あお向けになってお尻を持ち上げる筋トレです。お尻、太ももの裏側の筋肉を鍛えます。
トレーニング方法
- 仰向けになり、両膝を立てます。両腕は体の横に伸ばします。
- 両手で床を押さえ、息を吐きながら、内腿に力を入れゆっくりとお尻を持ち上げます。
- 腰がまっすぐに伸びるまで腰を持ち上げたらその状態で3~4秒間停止し、その後、ゆっくりと息を吸いながら腰を下ろします。
実施回数の目安
②~④の動作を、1セット10回、これを2~3セット行います。
トレーニングの注意点
- 膝の角度は90度くらいに保ちます。
- 負荷が物足りない場合は、足を腰から遠い位置にすると負荷が大きくなります。
腹筋の筋トレ~座位(椅子に座って)
椅子に座ったままで、腹筋のトレーニングができます。
トレーニング方法
- 椅子に浅く腰を掛けます。
- 座ったままで少しだけ両足を浮かせ、その状態をキープします。
- 上半身は、背もたれにつくかつかないかくらいのギリギリの位置まで倒しキープします。
- 1分位経過すると、腹筋に力が入っている感覚が出てきます。
実施回数の目安
この筋トレは、1セット:1分やって30秒休憩を3~5セット程度行いましょう。
トレーニングの注意点
- この筋トレを行う際は、背筋をまっすぐ伸ばしてください。
- 負荷が物足りない場合は、両足を上下に動かします。その時、足が地面につかないようにします。
太ももの筋トレ~座位(椅子に座って)
腹筋に続けて太ももの筋肉も椅子に座ったままで鍛えることができます。
トレーニング方法
- 椅子に浅く腰を掛けます。
- 右足と左足の膝を合わせます。その合わせた膝の間に適度な大きさのものを挟みます。
挟むものは、本やタオルなどなんでも構いません。 - その膝に挟んだままの体制でじっとしていると、太ももがプルプルしてきます。最初は平気ですが、だんだんつらくなってきます。その状態で限界まで我慢します。
やり始めは何ともないので、負荷がかかっていないように感じますが、時間が経過するとともに、筋肉が鍛えられていることがわかります。
椅子に座ったままテレビを見ながらでもできる筋トレですので、是非試してみてください。
ベッド上で寝たまま腹筋の筋トレ
ベッドの上や布団の上で寝たままでできる筋トレです。
トレーニング方法
- あお向けに寝て、ひざを立てた状態になります。
- 首が床につかないように少し上げた状態にします。
- 太ももに手を当てて、ゆっくりと3秒位かけて、指先が膝がしらに届くくらいまで上げます。
- 膝がしらに届いたら、同じく3秒位かけて、ゆっくりと元の位置まで戻します。
トレーニングの注意点
負荷が物足りない場合、動画のように手を頭の後ろや胸の前に置くようにすると、負荷が大きくなり筋トレの効果もより大きくなります。
高齢者の筋トレ~注意点
高齢者の方は、筋トレを始める前に次の注意点を確認しておいてください。
- 病気(持病)がある場合には必ず主治医に相談して許可を得てから行うようにしましょう。
- 体調が悪い時、痛みのある時、また、実施中に痛みを感じた場合はすぐに中止しましょう。
- 決して無理はせず、適度な強度で行い、いきなり強い負荷をかけたり、やり過ぎたりしないようにしましょう。
- 筋トレ中に息を止めて頑張ると血圧が急上昇しますので、とくに血圧の高い方は筋トレの時、息を吐きながら行うようにしましょう。
- 水分補給をこまめに行いましょう。できれば20~30分間隔で摂取しましょう。
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