多汗症の原因と対策は?汗かき体質改善は運動・食事・ツボ!

暑い夏は当然「汗をかきやすい」季節ですが、最近は異常な量の汗をかいてしまう「多汗症」で悩む人が増えています。

多汗症の治療には、手術や薬・漢方などが効果的ですが金銭面・安全面からもやはり不安がつきもの。

『あまりお金をかけずに自宅で多汗症を治したい』と考えている方はまず、多汗症になる原因を知り、その原因を解消するための対策・改善を試してみられるのがおすすめです。

多汗症とは

交感神経(自律神経)の失調による発汗

運動したときや暑い時は体温が上昇し、その体温を調節するために汗をかくのが普通ですが、多汗症は運動や暑さに関係なくおもに交感神経(自律神経)の失調により大量の汗をかいてしまう病気です。

また、多汗症は遺伝(先天性)によって発症する「原発性多汗症」と、病気や更年期障害・薬物などの影響で発症する「続発性多汗症」とに分けられます。

多汗症・汗かきの症状

多汗症の患者数

患者の数は正確には把握されていませんが、平成22年に厚生労働省より発表されたアンケートデータでは、手掌(手のひら)の多汗症で悩んでいる方の数は約667万人、腋窩(ワキの下)の多汗症で悩んでいる方の数は約720万人と言われています。

多汗症の種類・部位

多汗症は、全身に異常な量の汗をかく「全身多汗症」と、体の一部に大量の汗をかく「局所性多汗症」にわかれ、汗をかく場所によってそれぞれ呼称がつけられています。

  • 手掌多汗症:手のひらに異常な量の汗をかく
  • 足底多汗症:足の裏に異常な量の汗をかく
  • 腋窩多汗症:わきの下に異常な量の汗をかく
  • 顔面多汗症:顔面に異常な量の汗をかく
  • 頭部多汗症:頭部に異常な量の汗をかく

多汗症の部位

多汗症・汗かきの原因は?

肥満体質

肥満

肥満の方は体のまわりについた脂肪のせいで熱が放出されにくいため、通常の人に比べて「汗かき」が多く、とくに激しい運動をしていなくても汗をかきやすくなります。

また、汗には良い汗と悪い汗があり、肥満体質の人がかいている汗は悪い汗である可能性が大です。
良い汗とは、小さい毛穴から出る少量のさらさらした汗で、すぐに蒸発してしまう汗です。
一方、悪い汗とは、小さな毛穴から出る大量の汗で、じっとりとべたべたし、いつまでも肌に残り湿ったままで雑菌が繁殖したり臭いがしたりする汗です。

また肥満となった一因としなった「運動不足」も多汗症の原因のひとつになります。

運動不足

運動不足

「運動をする=汗をかく」というイメージがあり、運動をしたくない方もいますが運動不足の方が汗かきの原因になります。

運動をしない体は汗をかかないために汗腺が衰え、汗の出る部分が限られてしまい、とくに下半身や腕・手足に汗をかく事が極端に少なくなります。

そうなるとそれ以外の部分で体温を調整しなければならなくなりますので、顔や一部の汗腺の負担が高まり、顔面多汗症や頭部多汗症になる場合もあります。

体全体の汗の量は増えるわけではありませんが、部分的に汗の量が多くなり多汗症の状態になってしまうわけです。

ストレス・緊張

ストレス

ストレスや緊張なども汗かきの原因になります。

ストレスを感じすぎると自律神経のバランス崩れてしまい、副交感神経より交感神経の働きが活性化し汗の分泌量が増えます。

ストレスを継続的に感じると、交感神経に働きかけて常に発汗しやすい環境になりますので、ストレスをため込まないように上手に発散することが大切です。

睡眠不足

睡眠不足

睡眠が不足すると自律神経のバランスが崩れることは良く知られています。夜寝ている時は主に副交感神経が働きリラックス状態になり、昼間は主に交感神経が働き活動的になりますが、寝ている時間が短い「寝不足」の状態は、交感神経が活発に働く時間が長くなるためバランスが崩れやすくなります。

睡眠不足によってこのバランスが狂うと、自律神経の乱れを引き起こし、多汗症の原因になると考えられています。
毎日、しっかりとした睡眠時間をとることが多汗症・汗かき対策になります。

更年期障害

更年期障害

更年期とは閉経を挟んだ前後10年間のことを指し、一般的には45歳から55歳が更年期と言われる期間です。

更年期には女性ホルモンの分泌が乱れ、いろいろな身体的症状が現れることを更年期障害と言いますが、ホットフラッシュと言われる突然の汗もその一つと考えられています。

ホットフラッシュは、急に上半身の顔や首筋背中などにシャツが濡れるほどの大量の汗をかく状態のことを言いますが、原因は、閉経に伴い女性ホルモンのエストエラゲンの分泌が減少し、血管の収縮や拡張をコントロールしている自律神経が乱れ、交感神経が活性化するためと言われています。

多汗症を治す体質改善の方法

運動で汗腺を鍛える

有酸素運動で心地よい汗をかく

運動不足の人は汗をかきにくくなっているので、運動をして汗をかくことによって、代謝の良い体質に改善し汗腺を鍛えることが必要です。

運動の内容は、体に少し負荷をかけての「有酸素運動」がおすすめです。

有酸素運動と言うと、ジョギングや水泳・自転車等が頭に浮かびますが、ウォーキングでも十分有酸素運動になります。ただし、普通のスピードでだらだら歩くだけでは有酸素運動になりませんので、心地よい汗をかくくらいの少し早めのスピードで、1日30分~1時間、週3日位の頻度で続けると良いでしょう。

有酸素運動で多汗症対策

体質改善は継続が大切

多汗症・汗かき対策だけでなく、体質改善を目指すにはとにかく長く続けることが一番大切です。これまで長い年月をかけて培ってきた自分の体質は1週間や1ヵ月程度でなかなか改善されるものではありません。ダイエットと同じで継続してはじめて効果がでます。

ですので、一人でのウオーキングは退屈で長続きしないと思われる方は、フィットネスクラブや運動教室などに通ってみるのも選択肢です。有酸素運動に適したマシーンが揃っていますので、飽きずに楽しみながら効率的に有酸素運動ができます。

運動で体質が改善されれば、少しの動きくらいでは汗をかかない体質にすることができます。

食べ物で副交感神経を活性化

体質改善のために普段の食事を見直しましょう。

食べ物には交感神経の働きを活発にするものと副交感神経の働きを活発にするものがあります。

副交感神経を活発にすると汗かきが防げる効果があり、交感神経が活性化すると汗をかくことがわかっていますので、食事は副交感神経の働きを活発にするものを多く摂るように心がけると、体質改善につながります。

食事で多汗症対策

副交感神経の働きを活発にする食べ物としては

発酵食品

発酵食品

発酵食品(納豆・豆腐・味噌・ヨーグルト・乳酸飲料など)は副交感神経を効果的に刺激してくれることがわかっています。
発酵食品の中にある酵素が腸の活動を活発にすることで副交感神経の働きを高めてくれるので積極的に摂取しましょう

食物繊維が豊富な食材

玄米、きのこ、サツマイモ、海藻、野菜

食物繊維は消化されにくい性質がありますので、消化器官の働きが長くなり、副交感神経の働きも長くなりますので体質改善に効果が期待できます。
玄米、きのこ、サツマイモ、海藻、野菜などの食物繊維が多く含まれる食材をバランスよく摂るのがおすすめです。

多汗症にNGな食品

刺激物~香辛料・コーヒー

唐がらしなどの香辛料は汗腺を刺激するので、多く食べると汗をかきやすくなります。また、コーヒーやお茶などに含まれるカフェインも汗腺を刺激しますので飲み過ぎに注意が必要です。
多汗症で体質改善に取り組む方は、刺激の強い食べ物や飲み物は、極力避けた方がよいでしょう。

ツボ押しで多汗症対策

多汗症対策のツボ

ツボ押しは、即効性はありませんが、副作用が無く、続けることにより発汗をコントロールすることができます。

ツボはたくさんありますが、いつでも簡単に押せる「手のひらの周辺にあるツボ」を紹介しますので、押してみてください。

合谷(ごうこく)

合谷のツボ

多汗症に効くツボとして有名なのが、合谷と言うツボです
親指の骨と人差し指の骨が交わるところのくぼみにあるツボです。反対側の手の親指で押すと少し痛みを感じる場所、そこが合谷です。
体内の水分の量を調節して、熱を調整し、汗をかきにくいようにしてくれます。

陰郄(いんげき

陰郄のツボ

手のひらを上にして、小指側の手首の付け根からひじの方に1.5センチほどのところにあるツボです。押すと少しピリピリした感覚です。このツボは、体の余分な熱を取り除いてくれる効果があります。

後谿(こうけい)

後谿のツボ

手をグーにした時に小指の付け根の部分でふくれる場所、そこが後谿と言われるツボです。このツボは、体の熱を静める効果があります

労宮(ろうきゅう)

労宮のツボ

手をグーにした時に、中指の先があたる場所、そこが労宮と言われるツボです。このツボは、緊張をほぐし気持ちを落ち着かせ、発汗を抑える効果があります。

入浴トレーニング

半身浴で多汗症対策

多汗症を治す入浴トレーニングとは、入浴により体の内側を温めることにより汗を出し汗腺を鍛えることにより汗の質をよくする方法です。
汗腺を鍛える効果のある入浴法として、「半身浴」や「高温手足浴」を紹介します。

半身浴

お湯の温度は39℃~41℃位あまりぬるいと汗が出ず、目的が達成できません。

腰からみぞおち辺りまでお湯につかり、胸から上はつかりません。そうすることで内蔵に負担をかけずに汗をかくことができますし、長時間お湯に浸っていてものぼせたりすることがありません。

20分~40分位この状態を続けます。上半身を出しておくことで、脇の下や顔、腕、手、上半身から汗をかき、汗が蒸発することで体温が下がります。この半身浴を継続して行うことで、汗腺の機能を回復させることができます。

すぐに効果は出ませんが、1か月位続けることで徐々に汗腺の機能が改善されるようです。

高温手足浴

43度から44度くらいの熱めのお湯を浴槽の半分くらいの量まで溜めます。浴槽内に低い椅子を置いて座り、両手の肘から先と両足の膝から下をお湯に浸かります。しばらくすると汗が出てきますので、そのまま10分から15分待ちます。

この間、大量の汗が出ますので、水分補給をするようにしてください。高温浴が終わった後、お湯に水を足して、36℃くらいに温度を下げ、同じようにお湯に浸かり、10分~15分待ちます。

高温浴で高まった神経をぬるいお湯に浸かることで、リラックスさせることが目的です。風呂から出たら体をよく拭いた後、汗が蒸発するまで服は着ないでおきます。また、水分補給を忘れないようにしてください。

この入浴法を3週間程度続けると、汗腺機能が鍛えられ、多汗症改善につながります。

早く治すには病院で治療(手術・薬)

多汗症を治すための方法として、体質改善やツボ押しを紹介しましたが、いずれも効果が表れるまでには時間がかかり、すでに多汗症で悩んでいる方にとっては物足りないことは否めません。

早く治すには、やはり病院や医薬品での治療が一番です。

最近は、多汗症治療の手術や投薬代について、全部ではありませんが保険が適用される範囲が拡大されていますので、自分の症状にあった治療をしてもらうのにいくら位の費用が掛かるのか確認し、信頼できる病院で治療を受けられるとよいでしょう。

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