法事のお返しマナー[のし/お礼状の書き方/品物/相場]まとめ
法事(法要)についての「ダンドリ」は冠婚葬祭の書籍などで解説されていますが、法事のお返しについて詳しく説明されている本は少ないようで。。。
そこで今回は、初めて法事を行う方向けに法事のお返しのマナー『品物の選び方・相場金額・のし・お礼状の書き方】などをまとめてみました。
法事のお返しとは?
法事のお返し~言い方・呼び名は?
法事のお返しは、四十九日を過ぎてから行う年忌法要(一周忌や三回忌/七回忌など)へ参列していただいた方に、お供えに対する返礼としてお渡しするもので「引き出物」と呼ばれています。
引き出物は本来は結婚式や祝い事など慶事の際に招待客に配られる贈答品のことを言いますが、冠婚葬祭の場全般で配られるものを指す場合もあり、広い意味では法事のお返しも「引き出物」と呼んで差し支えありません。
また、法事の際には法要後に会食(食事・お酒・弁当など)でもてなすのが一般的ですが、この会食も「法事のお返し」にあたります。
ちなみに、通夜や葬儀、その後四十九日までのいわゆる「忌中」にいただいた香典へのお礼は「香典返し」と言います。
夫婦・家族連れで参列の場合は?
夫婦や家族(子ども連れ)で参列いただいた場合のお返しは、夫婦(一家族)に1個お渡ししますが、お食事は人数分が必要になります。
また、何かしらの事情で夫婦それぞれからお供えを頂いた場合は、お返しもそれぞれにお渡しすることになります。
身内(家族や兄弟)にも必要?
同居している家族や兄弟は法事に参列しても、お供えは貰いませんので当然「お返し」も不要ですが、身内であっても独立して一家を構えており法事に際しお供えを持参する兄弟などには「引き出物」を用意します。
法事のお返しは品物?商品券?
消えてなくなる食品ギフト(お茶・海苔・砂糖)
法事のお返しは『不祝儀』ですので、いつまでも残らないようにと言う意味を込めて、
- 食べて無くなる食品ギフト(お茶や海苔・砂糖など)
- 綺麗に洗い流すキッチン/バスギフト(石鹸・洗剤・タオル・入浴剤】
などの日常生活の中で消費されるもの(いわゆる消えもの)が良いとされています。
法事のお返しの定番~菓子折り・茶の子
法事のお返しの定番として「菓子折り」を使う地域もあります。
菓子折りは全国どこでも使われているお返しで種類も多く、故人が好んだお菓子や当地の名産品などを自由に選ぶことができるので、法事のお返しにもおすすめの品と言えます。
中国・四国・九州の主に瀬戸内海に面した地域では法事のお返しとしてのし紙に「茶の子」と記すところもあります。
金券(商品券・ギフト券)のマナーは?
商品券やギフト券は「もらって嬉しいお返し」としてアンケートなどでは人気ですが安易に贈るのは避けましょう。
金銭そのものではないにしても、露骨に金額がわかってしまう為、これらをお返しに使うのはマナー違反という意見もあります。
とくに親戚・親族でもご年配の方など、しきたりを重んじるような方には避けた方が無難です。
法事の引き出物でも人気のカタログギフト
最近では贈り先に好きな物を選んでいただける『カタログギフト』が法事引き出物としてよく使われています。
カタログギフトは、商品券やギフト券ほど露骨ではなく、贈る側も贈られる側もメリットのあるギフトの仕組みで、全国どこでも自宅までお届けしてもらえる点も人気です。
また、最近のカタログには食べ物をメインにした「グルメカタログ」や、旅行・温泉・食事なども選べる「体験型ギフト」など種類も豊富で、お相手の方にあわせた贈り分けもしやすいおすすめの引き出物です。
法事のお返しにタブーなものは?
次のようなものは法事のお返しとしてはふさわしくないので使わないようにしましょう。
- .生ものや日持ちしないもの
- 魚や肉などの冷蔵品・冷凍品は持ち帰りの途中で傷んだりしますのでお返しとしてはNG。
できれば、消費(賞味)期限が長い品物も選ぶようにしましょう。 - お酒やビール
- お酒類は神事などお祝いによく用いられることから慶事を連想させる品物なので避けた方が無難です。
- 昆布や鰹節など
- 昆布や鰹節は慶事(結婚式)の結納品に使われる縁起物ですので、法事のお返しとしては不適です。
法事のお返し相場金額は?
お供え(御仏前/御霊前)の半返し?
法事のお返しの金額の基準は、親戚であれば頂いたお供えの3割から5割程度、それ以外の方であれば半額程度の引き出物を用意するのが多いようです。
ただ、お供えの金額は参列者によって違い事前にいくらかはわかりませんので、お供えの額を推測して3000円から5000円程度の品物を用意することが多いようです。
食事代も含めたお返し金額は8割
法事では参列頂いた方に会食(食事・お酒・弁当など)を用意するのが一般的で、会食代+引き出物あわせてお供え金額の7割から8割程度のお返しが相場となっています。
また、一周忌法要は最初の年忌法要であることから盛大に行う場合が多く、お供えの金額と同額か少なくとも8割程度はお返しするのが良いと言われています。
お返しの相場金額は地域・慣習も参考に
法事に参列しないでお供えだけを頂いた場合、お返しの相場金額は地域によって異なり一概には言えませんが、一周忌や3回忌の法事でのお供えは10,000程度を包む場合が多いと言われており、それに対するお返しは5000円前後が相場と言われています。
法事を行う場合は、あらかじめ親族や法事のしきたりに詳しい方に地域の「お供えの相場」や「会食・引き出物の相場」について聞いてから手配するとよいでしょう。
法事のお返しマナー~熨斗(のし)
のし紙・水引
一周忌法要でのお返しの包装は白やグレー・緑色などの落ち着いた色調の包装紙を使い、熨斗(のし)はつけずに黒白か双銀の結びきりの水引を掛けます。
三回忌以降の法要でのお返しは、包装は一周忌と同様落ち着いた色調の包装紙を使い熨斗もつけませんが、水引は黄白か青白の結び切りのものを使うところが関西以西では多いようです。
のしの書き方(表書き・志)
地方や宗教によって表書きの書き方は違います。
仏教の場合、引出物の表書きは、「志」が基本ですが「粗供養」も使いますし、一部地方によっては「茶の子」(お茶菓子のことを言います)と書くところもあります。
神式では故人を偲ぶという意味で「偲び草」、キリスト教では「感謝」などが用いられます。
のしの下段に書く名前
下段には施主名を記入します。姓だけを書くのが普通ですが、名前を書いても問題ありません。
また、故人の子供たちが法事の費用を分担して負担するような場合は「○○家」と書くこともOKです。
薄墨は使わない
一周忌以降の年忌法要ののし紙に書く墨の色は、薄墨ではなく普通の真っ黒な墨となります。
薄墨で書くのは49日法要までで、もともと薄墨は死去の悲しみで流す涙で墨が薄くなったという伝説からきており、死後直後はその感情があふれることから薄墨を使いますが、49日の忌明け後は普通の真っ黒な墨で表書きをします。
法事のお返しに添えるお礼状・手紙
お礼の言葉を手短に
法事への参列は無くお花やお供え物を頂いた方に対しては、お礼状を添えて「お返し・引き出物」を送るのがマナーです。
お礼状は時候の挨拶は使わず、お供えを頂いたことに対するお礼と、法事が滞りなく済んだことへの感謝を伝えるシンプルな内容の文章とします。
できれば「手書き」で書くのがベターですが、パソコンで作成・家庭用プリンターで印刷して出しても構いません。
法事のお返し~ご挨拶/お礼状文例
お礼状は縦書きで作成します。
文例1は柔らかい表現で親戚関係に出す挨拶状、文例2は少し形式ばった表現で親戚以外に出す挨拶状の例です。※故人は施主の父親で一周忌法要の場合
法事のお返し文例①
拝啓 このたびは 亡父 ○○○○儀 一周忌法要に際しまして
ご多忙中にもかかわらずご鄭重なるご厚志を賜り心よりお礼申し上げます
おかげさまで一周忌法要を滞りなく済ませることができました
ご厚情に感謝申し上げますとともに
今後も変わらぬご交誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉のうえお礼を申し上げるべきところではございますが
略儀ながら書中をもちましてお礼申し上げます
敬具
平成××年××月××日
〒□□□−□□□□ 施主の住所
施主 ○○ ○○
親族一同
法事のお返し文例②
拝啓 故 ○○○○儀 一周忌法要に際しましては
御多忙中のところご御鄭重なるご厚志を賜り心より厚く御礼申し上げます
お陰をもちまして一周忌法要を滞りなく済ませることができました
ご厚情に感謝申し上げますとともに
今後も変わらぬご交誼を賜りますようお願い申し上げます
早速拝眉の上お礼申し上げるべきところ
略儀ながら書中をもちまして御礼のごあいさつ申し上げます
敬具
平成××年××月××日
〒□□□−□□□□ 施主の住所
施主 ○○ ○○
親族一同
※○○○○儀には故人の名前が入ります
法事のお返し文例のポイント
- 拝啓、敬具は省略しても構いません。
- 時候の挨拶は入れません。
- 故人の呼び方は施主から見た続柄とします。
亡母○○○○儀あるいは故○○○○儀と表記します。 - お供えを頂いたお礼を述べ、法要が無事済んだことを伝えます。
- 直接訪問してお礼を言うべきところを書中で済ませることをお詫びし、お礼を言います。
- 文章の途中や末尾に「、」や「。」の句読点はつけません。
- 差出人は施主名とし「姓名」を書きます。
ちなみに年忌法要を執り行うのは施主と言います。
年忌法要には喪主は存在しませんので差出人は施主◇◇◇◇とします。
お返し・お礼状はいつまでに出す
お返しは法事が終わってからできるだけ早く、遅くとも2週間以内には出すようにしましょう。
お礼状の書き方は前述の通りですが、どうしてもお礼状を書く時間がないという方は、
- お供えへのお礼
- 法事が無事済んだことへの感謝
- お返しをお送りしていること
を電話でかまいませんので、早めに丁重にお伝えしましょう。